2010年08月02日

夏期休業のお知らせ

午前5時。
寝苦しさの中、ようやく意識を飛ばしてから、
まだ2時間ほどしか経ってないその時、
俺の頭の上で「彼」は歌い始めた。

幾年もの年月を土の中で過ごし、ようやく日の目を見た喜びを
その小さな身体全部を使って奏でようとしている。
とんでもないエナジー。

俺はせっかく手に入れた安眠を妨げられ、苛立ちを込め彼を睨む。
狭いベランダの隅に、鎮座していた彼は、
俺の目線など気にする素振りもなく、彼は歌い続ける。

怒りが込み上げる。
右手には何かしらの棒切れを手にしていた。
それを彼に投げつけようとする俺。

彼もまた俺に怒りの表情を見せ、飛びかかってくる。
邪魔するんじゃない、と。

今、まさに、ここまで苦渋に耐えてきた意味を知るべく、
生命の喜びを精一杯奏でようとする彼の逞しさに、俺は言葉を失った。

ふと思いがよぎる。
明るい未来を信じながら、1日1日、1年1年、
この暗い穴蔵の中で生きてきたのは、他でもない俺ではないか。
そんな俺が、今こうして「生」を謳歌する彼を
どうして邪魔することができようか。

彼は歌い続ける。
その生命が、たった数日のものと本能的に知りながらも。
夏の陽射しを跳ね返さんばかりの勢いで。強く。強く。


















しばらく、ブログ、休みます。
書きたいこと、見つかるまで。
posted by 天八亭寅次郎 at 22:56| 大阪 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | ひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『本願力にあいぬれば むなしくすぐる人ぞなき
功徳の宝海みちみちて 煩悩の濁水へだてなし』
と親鸞聖人は言うてはりますが。

寅さんの本願とは「書くこと」なんやろうなあ、と
思います。

また、「書くことを見つめる」という行為が、
休むことであるのではないかなあ、と。

文筆家としての生命力を蓄えた寅さんの、ブログの
再開を楽しみに待っております。


てか、読む方(ワタクシ)としては、昨今の世に
溢れる、即物的な表現の数々に飽き飽きなんだ。

バブル期を見よ。

あのゆとりのある表現、ああいうものこそ、真に
人心を潤すものとなるのではないか、と思うんだ。

不況だから→人心が荒廃し購買力も低下→購買力を
喚起すべく即物的な表現となる。
って、辛気くさすぎるんだわ、心がクサクサするん
だわ。

『夏期休業のお知らせ』みたいな文章が読みてえんだ、
こういう文章が売れる世の中になって欲しいんだ、
ワタシは。
Posted by べちー at 2010年08月03日 10:57
夏休みの宿題は夏休みが終わった頃に片付けてたタイプでした。寅さんも課題が見つかったとしても焦らずマイペースで取り組んで下さい。

揚げ足取りしがちな世の中には愛ある突っ込みこそ必要やと思うので、セカンドシーズンを楽しみに待ってます♪
Posted by きんや部長 at 2010年08月11日 03:38
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